女たらしの竹久夢二をとりこにした愛人彦乃

男性は処女に憧れを持っているものです。竹久夢二の描いた美人画は処女性をにおわすものがほとんどで、「いつか彼女をものにしてみたいものだ」と多くの男性たちは夢想させられます。特に人気の高いのが、笠井彦乃という女性をモデルとしたもの。その弱々しい横顔には男性なら誰もが「手を差しのべてあげたい」と感じるでしょう。一度も男性に触れさせたことがない、と思わせる頬や繊細な指先からは、セクシーな色気も漂います。しかし、彦乃はとっくに処女ではありませんでした。美学生だった彼女は既婚の師匠であった竹久夢二に毎日のように抱かれていたのですから。

女にだらしない夢二は次々と教え子を毒牙にかけた!?

夢二はとても女好きのする男であり、言葉巧みに口説くことのできる、まるで新興宗教の教祖のような話術を持っていました。それゆえ、夢二に口説かれるとほとんどの女性が体を開いてしまうのです。美人画の画家として名声を得ていた夢二は有名人であり、「女たらし」としても知られていましたが、それでも女性たちは夢二に抱かれたがったのです。

ただ、彼には性欲が長続きしないという問題がありました。まだ自分のものになっていない女性に対しては強い執着心を抱き、巧みな話術で自分のものにしてしまうのですが、一度肉体関係ができるとその関心が薄れてしまいます。それゆえ、次々と相手を変えていったのです。それは妻に対しても同じこと。彼には2才年上の妻がいて子供もいましたが、毎日抱いているうちに妻にあきてしまいました。そこで彼は妻と離婚をしますが、別れてしまえば「他人」に戻ります。再び性欲が復活して、別れた妻と同棲をつづけたのです。彦乃と出会ったのは、別れた妻と同棲中のことでした。

夢二の下半身をしっかりと握って離さなかった彦乃

笠井彦乃は女子美術学校の生徒でした。そこで師である夢二と出会い、人目を引く美しい娘の彼女はすぐに彼に口説かれます。当時、離婚したとはいえ元妻と同棲中の夢二は「結婚相手」としてはふさわしくありません。20才の彼女に対して、夢二は32才。年も離れています。彦乃にしてみれば、これからいくらでも知的でお金持ちの男性と出会えるチャンスはありました。

しかし、夢二は言葉巧みに口説いてきます。「一度だけでいいから」と言われ続けて、彦乃は断ることができなくなりました。一度抱かれてしまえば、次は二度、そして、三度と続いていきます。毎日のように肉体関係を持ちつづけますが、夢二には悪い癖がありました。7回ほど抱いた女性には関心がなくなるのです。こうして、処女だった彦乃は毎日抱かれた挙句に一週間で捨てられてしまったのです。

ただ、彦乃には絵に現れている通り特別な魅力がありました。別れてすぐに夢二は後悔します。「もう一度抱きたい」と思ったのです。彦乃はベッドでも相手を惹きつけて離さない魅力を持っていました。性的関係が復活し、師と弟子の肉体関係が続いていくことになりました。

夢二と彦乃との関係に気づいた彦乃の父親が激怒し、彼女を実家に戻してしまいますが、彼らは密かに関係を持ちつづけました。手紙のやり取りの中で、彦乃は「会ってからどんなにもいじめてちょうだい」などと書いています。サディスティックな性行為もあったのかも知れません。処女のように見える女性からこんな言葉を言われたら、女たらしの夢二と言えども、手放せなくなったでしょう。残念なことに、彦乃は25才でこの世を去りました。

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