男性のための秘薬もありました

10世紀の「伊勢物語」では、年齢のいった女性のセックスは良いものとされていましたが、11世紀には非難され始めます。「枕草子」の「似つかわしくないもの」の段には、「歳とった女性が妊娠してお腹を大きくして、息を切らして歩くのは見苦しい」と描かれています。他にも「いい歳の女が、若い夫を持っているのはみっともない」「他の女のところに通うことに嫉妬するのも見苦しい」などと、高齢女性の恋愛に手厳しいです。

「源氏物語」の中でも「老女の好色」は批判的に描かれています。この時代の「高齢」「老女」とは、おそらく40代以降のことですので、現代的に考えると「まだまだ盛ん」な年代です。一方、男性の性欲については、年齢的な制限はなく、むしろ、性能力の高い高齢者は尊敬されていたようです。精力が盛んなところを誇示するために、いくつか「秘薬」もありました。

精力悦倫男の伝説

男性は、長寿と精力維持のための「秘薬」を探し求めました。西暦890年に没した大納言「藤原冬緒」は84才まで生き、白髪もありませんでした。「露蜂房」を服し「槐子」(かいし)を飲んでいたからだと言われています。「露蜂房」は蜂の巣を幼虫ごと食べるもので、「槐子」はエンジュの木の実です。

「鐘乳丸」を一日一丸服していた東宮学士の大倉善行は、90才になっても元気はつらつで「家には多くの婦をたくわえ、房室を断たず、年八十七才で一男を生ませ」とあります。「妻や妾を大勢抱えて、セックスをし続けていいて、87才でも子どもを作った」ということです。身体的には当時の男性よりもずいぶん恵まれているはずの現代の我々でも、ここまでの精力を発揮するのは難しいです。いや、むしろストレスから来るEDに悩まされている男子が増えているのが実状です。しかし、大倉善行とまではいかなくとも、人並みに性を愉しむのであれば今はバイアグラという魔法のような薬があります。試したことの無い人は疑うかもしれませんが、多くのケースでとても高い効果がある薬ですので、ぜひお試しあれ。ただし、ネットで安く入手したものは偽造品の可能性が高いですから、専門クリニックの正規ルートで購入するようにしてください。

クコの実で大長寿

武田千継という人は、17歳の時から「枸杞」(くこ)の実を育て、根や葉を食べたり酒につけてのんだり、クコ風呂に入っていたためいつまでも少年のようでした。これを知った天皇が呼び出してみると、97才の千継は、髪もひげも黒々としていて肌はつやつや、耳も目も健康そのもの。虫歯もありません。さっそく真似をしたそうです。春海貞吉はという人は、26歳の時からクコを飲み始め119才まで長生きしました。

男性については、こうした「秘薬」で長生きしたり、高齢でも性的威力が衰えず子づくりに励んだ話が、いくつもあります。女性には、歳をとったらヴァギナを閉じて奥の部屋にこもって過ごすか、尼になることを求めつつ、男性は若い女性と奔放に性を楽しむことが奨励されます。次第に、男性に都合の良い考え方が定着し始めたようです。

平安時代には、男性は長生きで健康で性的に旺盛であることが尊敬されました。そのため、「秘薬」も試されていたようです。

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