道端でのナンパもありました

現代においては、ナンパはさまざまな場所で行われます。飲食店などのお店でということもあれば、夏のビーチということもあるでしょう。繁華街の路上ということもあるのではないでしょうか。平安時代においても、道端で声をかけそのまま「お持ち帰り」することもあったようです。拉致同然に連れていってしまうことや、そのまま結婚してしまうこともありました。現代のナンパよりも、やや強引だったのかもしれません。

「辻捕り」の風習がありました

中世社会には、「辻捕り」(つじとり)というものがありました。「辻」とは道端のことで、「辻捕り」とは女性を道端で捕まえて持ち帰ってしまうことです。「御伽草子」の「物くさ太郎」の話には、上京した物くさ太郎が、清水で妻を得るため、柿色の服を着て竹の杖を持ち大手を開いて道端に仁王立ちして、辻捕りをする話があります。この時、「男も連れないで、輿(こし)にも乗らないで、歩いている美女をとらえるのは、辻捕りといって天下のお許しだ」と言っています。

鎌倉時代にできた「御成敗式目」の中では、「辻捕り」は人妻の不倫よりも罪が軽くなっています。「辻捕り」は強姦ではなく、男が道端で女性に声をかけ合意の上で性交する「出会い」の一種だったようです。

辻捕りのシンデレラストーリーもあります

今昔物語」にはいくつか辻捕りの話がのっていますが、その中のひとつはこういう話です。身寄りのない貧しい美女が、神社の大門の前で馬に乗ってやってきた陸奥守(むつのかみ)の息子に声をかけられ、性的関係を結びました。女は相手に気に入られて、そのまま陸奥(東北)に連れていかれて、お姫様になり幸せに暮らしたという、シンデレラストーリーです。

大門前で出会ったときの様子として、「女は夜更けに一人で立っていたので、男に声をかけられて拒否するわけにもいかず、そのまま近くの小屋に連れていかれて抱かれた」あります。女性が夜ひとりで道端に立っていれば「ナンパ待ち」というサインだったのでしょう。

もう一つ、貧しい女性が大門の前で盗人に声をかけられ性的関係を持ち、帰りに盗品の分け前をもらったという話もあります。その後、女は戦利品のおかげで夫をもらい、幸せに暮らしたというハッピーエンドです。

平安時代には、辻捕りという風習があり、女性が道端で声をかけられそのまま性的関係を結ぶことがあったようです。道端でのナンパはやや強引だったのかもしれませんし、性交したい女性は夜立っていればよかったのかもしれません。

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